BGMの使用には注意と工夫を
カフェ・喫茶店の雰囲気を彩るもののひとつに、「BGM」があります。
たとえば木調の店内に、ジャズやクラシックが流れている。喫茶店の定番スタイルといえそうですが、この一見なにげないBGMにも、注意や工夫が必要です。
音楽は無断使用できない
最初に注意しなければならないのは、CDやiPodなどの音源は、無断ではBGMとして使用できないということです。
いわゆる「著作権」の問題です。
市販の楽曲の多くは、JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)がこの著作権を管理しており、店内のBGMとして使う際には、JASRACに対して所定の使用料を支払わなければなりません。
料金は店の規模などによって決まっているため、JASRACのホームページで確認してみましょう。
有線放送や、スマートフォンなどの音楽配信サービスの場合は、これらの事業者が著作権使用料を負担しているため、JASRACとの契約は不要です。客層や状況に応じた選曲を
法制度面の手続きを済ませたら、次に大切なのは「どんな音楽を流すか」です。
これは「どんな内容にするか」「どんな食器を使うか」と同じで、お店のコンセプトと直結してきます。
モダンな店内のお店に、童謡のようなまったくチグハグな音楽を流す人はいないでしょうから、「お店の雰囲気に合わせる」というのは言うまでもないことでしょう。
むしろ注意が必要なのは、事業計画の重要性についてでもご紹介したように、経営者のこだわりや趣味性が強すぎるのはあまりよい結果を生まないということです。
たとえばハードロックやヘヴィメタル、あるいはアイドルグループの歌などは、好きな人は熱狂的に好きですが、喫茶店のBGMとしてふさわしいかといえば疑問です。
もちろん、店名、内装、従業員の制服など、曲調に合わせて統一感を出し、コアなファン層だけをターゲットにするというやり方もあるでしょう。
もしかすると、その「個性」がうけて大成功するかもしれません。
ですが、その場合はどれくらいの集客や売上が見込めるのかを特に綿密に計画しなくては、経営はすぐにいきづまります。
これに限らず、どのような曲を使うにせよ、年齢層や職業などの「客層」をしっかりイメージすることは大切です。
カフェ・喫茶店の場合、基本的には静かでゆったりとしたジャンルのBGMが一般的ですが、いかにゆったりとしていても、お店の客層と合っているかは考えましょう。ブラックミュージックやボサノバ、カントリーなどは、テンポがゆっくりだったり、曲調が牧歌的だったりしたとしても、好き嫌いのわかれるジャンルといえます。
ですから、たとえば有線放送が提供しているクラシックを、特に考えもなくただ流しておけばいいというものでもありません。
また、ヒーリングミュージックのようにあまりにゆったりと落ち着く音楽だと、お客さまも長居される傾向が強くなります。回転率を上げたい場合は曲を選ぶ必要も出てきます。
客数の状況によって、使う音楽の種類を変える工夫をしているお店もあります。スピーカーの位置にもひと工夫
そして音量です。
耳が痛くなるようなフルボリュームでBGMをかけることはないでしょうが、スピーカーの位置には注意が必要です。不用意に置いてしまうと、音量を絞っているはずなのに「うるさく感じる客席」ができてしまいます。
どこにスピーカーを設置するかは、よく考えましょう。
場合によっては、高級な音響機材をうまく配置すれば、耳のこえた「通」のお客さまを常連とすることができるかもしれません。もちろん、事業計画と密接につながることなので、ただ高いスピーカーを買えばいいという話ではありません。
「無音」という選曲
色々申し上げましたが、最後に「BGMなし」という選択肢もあるということを付け加えておきたいと思います。
BGMをなぜ使うかといえば、雰囲気づくりもさることながら、厨房の雑音や他のお客さまの話し声を目立たなくする「マスキング効果」が理由です。
ですが、BGMがなければ、その分お客さまも静かに話されるかもしれませんし、コーヒーをいれる音が、何よりのBGMになることもあります。
お店の立地や構造、客層によっては、BGMがなければ雑音が気になって仕方がないという場合もあるでしょう。
ですが、「なし」の方がさらに雰囲気が増す、という場合も珍しくないので選択肢のひとつとして頭においておいても損はないと思います。
カフェ・喫茶店開業者や経営者のみなさま、私たち大阪サントス珈琲は、多くの開業をお手伝いしてきた実績があります。ぜひお気軽にご相談ください。